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コーチングの罠

 コーチングの有用性は日本のビジネスの常識として定着してきました。既に書店にはコーチングのコーナーもあります。私もコンサルタントの手段としてコーチングのメソッドを取り入れています。しかし、このコーチングにもとても危険な罠があるのをご存知ですか?

 コーチングとは相手と会話を重ねることにより、自ら目標達成のためのスキルや知識を獲得できるようにナビゲーションし、その行動を促してゆくものです。コーチングの普及により、頭ごなしに指示命令をする、これまでのマネージメントスタイルは否定されつつあるように感じます。しかし・・・

「マネージメントにおいてはコーチング・スタイルが最も有効な方法である」
これはYESかNOか?

 答えはNOです。  

これは私の完全な実体験の基づく答えです。そして実は、私が異端な主張をしているのではなく、コーチングの教科書にもこのことはきちんと書かれています。コーチングは万能ではないと。

 実はコーチングが機能するのは、リスクの高いポジションにある、能力の高い人材だと言うのです。もちろん経営者や経営幹部はこの条件に当てはまります。だから私もコンサルティングにコーチングのメソッドを取り入れています。

 しかし、コーチングの入門書籍ではこの部分の詳細な説明が欠落しているものもあります。まるでコーチングは万能であるように説明されていることがあるのです。だからリスクが高いポジションにある、技能や能力が不足している人材にまでコーチングでマネージメントを行おうとする管理者が出てきます。この失敗を私自身がしてしまいました。

 主任、係長、課長といったクラスの人材に、はじめて大きな仕事を任せるときに自主性を尊重する方法をとりがちです。しかし、それは大きな誤りです。この際に必要なのはリーダーのリーダーシップのある行動です。必要な場合には経験者としての具体的なノウハウを部下に提供すべきなのです。ティーチングを行うべきなのです。前回も書きましたがリーダーはまず明確な目標を掲げなくてはなりません。そしてその目標達成にすべてを掛けなくてはなりません。中途半端に人を育てようと考えるよりも、業績をあげることで人も育ててゆくことがでできます。言葉のアプローチは所詮、言葉にしか過ぎません。

 これは社内の職位だけで判断されるものでもありません。個人個人の考え方の中で厳しくティーチングしなくてはならない人もいますし、コーチングすら必要のない人もいます。判断基準はこの1点だけです。

「プロ意識があるか?ないか?」

プロ意識とはつまり業績を上げることを、心から目標化できる人材か否かです。

「プロ」という認識も大きな言葉の罠です。能力がある人、知識がある人、経験がある人、資格を持っている人がプロではありません。業績があげられる人こそが企業の中ではプロなのです。会社の業績をあげることに自らのミッション(使命)をフォーカスできる人だけがプロなのです。

個人の成績や評価がプライオリティ(優先順位)第1位のような人は、本当の意味でプロではありません。ひどいケースでは会社の業績の足を引っ張るマイナス要因でしかありません。

しかし日本の多くの会社が導入した成果主義は、業績を上げることではなく、個人の成績や評価を上げることに個人の意識を向けるような、不完全なシステムになっています。プロを育てられるシステムではないのです。

本当に業績を伸ばしたければチームで行動することです。成果はチームで分配すればいいのです。自らを犠牲にしても業績向上のために、チームに貢献できる人材こそが必要なのです。

「がんばったやつと、そうではないやつの間で不公平感が生まれる」

こんな話をよく聞きます。しかしこの発言はリーダーシップの敗北です。がんばらなかった奴を放置したリーダーの責任以外の何者でもありません。

コーチングはもちろん、すばらしい考え方です。しかし、そのコーチングすらもリーダーのマネージメント上の戦略ツールのひとつに過ぎません。どこでコーチングを行い、どこでティーチングを行うか?そして時には感情的に怒りを爆発させることだって必要なのです。マネージメントの答えはひとつではありません。あなたのキャラクターだって人とは同じではありません。苦虫を潰したような顔の上司の「よくやった、ありがとう」は、ニコニコ上司には絶対にマネできない最高の言葉となります。

リーダーはとにかく業績を上げるために何をすべきかを常に考えてください。業績をあげるということは、あなたの会社の商品やサービスを世の中に普及させるということです。あなたの商品やサービスが普及すれば世の中はもっとよくなると思いませんか?業績をあげることは壮大なミッションと繋がっているのです。

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