男前豆腐の捨てたものとは?

2007/09/24 10:46:18

私の著書「マーケティングは他社の強みを捨てることから始まる」(明日香出版社)ではさまざまな事例を掲載しています。この事例の選択は明日香出版の担当者と相談をしながら行いました。

 

 しかし、実際には文章には起こしたものの、掲載はしなかった事例もたくさんあります。そのひとつが男前豆腐店の男前豆腐です。

 

T0010013

 

 この本を執筆していた頃は、そのきわめてユニークなパッケージやネーミングなどで、男前豆腐店の商品がマスコミを賑わしていました。ほとんどのメディアはこの商品の奇抜さを取り上げていました。又、マーケッターたちもこの商品について数多く論じていました。ほとんどは伊藤社長の奇抜で卓越したマーケティング戦略について論じているだけです。
  
 最終的には出版される時点では、男前豆腐の事例は読者にとって、目新しさがないと判断し掲載を見送りました。

 ちなみに私は事例に紹介している商品は、ほとんど自ら試しています。特に大きく取り上げたティファールの電気ケトルや、びっくら?たまごは今も愛用しています。

 もちろん男前豆腐も購入して食べました。驚きました。うまいのです。実は男前豆腐店のエピソードも、多くの人が取り上げているパッケージやネーミングのユニークさではなく、「ありそうでなかった味の豆腐」「価格戦争からの離脱」「購入前と購入後の驚き」の章で紹介しようと考えていました。

 本の出版のためにはじめて男前豆腐を購入してから1年以上が過ぎますが、今や男前豆腐店の豆腐以外は食べません。風に吹かれて豆腐屋ジョニーや、男の三連ちゃんは我が家の食卓には欠かせません。

 私はこれらの豆腐にほんの少しのうすくち醤油か、粗塩を掛けて食べます。豆の本来の味と、芳香な香りを楽しむことができる、唯一の豆腐だと思っています。今までの豆腐は何だったのだろう?ポン酢醤油をかけて食べていたものは何だったのだろう。そう感じざるをえません。

 男前豆腐という商品はパッケージがユニークです。実はそのパッケージには実用新案が出願されています。風に吹かれて豆腐屋ジョニーのパッケージもサーフボードに似せただけではなく、うまい豆腐ができ、さらにうまさを引き出すための工夫なんだそうです。それが納得できる味です。一度、「粗塩」で食べてみてください。次にうすくち醤油で食べてみてください。あなたが知らない豆腐の味に出会えます。
 
● 書籍では紹介できなかった男前豆腐の3つの驚きは・・・・

 

 【購入前の驚き】

① 顧客の知らなかった事実の意外性
 ・ ありえないパッケージ、ありえないネーミング
 
 【購入後の驚き】

② 期待以上の結果の驚き
③ 期待していなかった結果の驚き
 ・ 価格を上回る期待以上のうまさの驚き!
 ・ ネーミングの奇抜さと話題性につられて購入した顧客にとっては期待していなかったうまさの驚き!

● 男前豆腐の3S発想法

 

① 捨て(S)たもの
  「豆腐の伝統性」「懐古(製法)主義」「(ネーミング・パッケージで破壊)
  「豆腐があっさりした食べ物であるという既成概念」
  「価格競争」

② 正反対(S)に置き換えたもの
  「まったく新しい豆腐という概念」
  「おかずになる豆腐(こってりとした豆腐)」
  「価格以上のおいしさの提供」(価格は2.5倍)

 

③ それを支える(S)もの
  「経営者の味に対するこだわり」
  「新発想のパッケージ」
  「導入口を広げた奇抜なマーケティング戦略」

 食品の世界では製法や素材に関する、メーカーのこだわりが前面に出されることはよくあります。しかし、それが驚きに値する味が提供できていないなら、それは自己満足かもしれません。味があり、そのバックグランドに製法や素材や食の安全性があること。これが顧客が求めていることかもしれません。